「ベトナムで日本人を現地採用したい時は給与いくら位が適正?相場は?」
「現地の日本人材マーケットは今、どうなっているの?」
ベトナムで事業を展開するうえで、このような疑問を抱く経営者、採用担当者様はいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、日越(日本⇔ベトナム)即戦力特化のダイレクト採用支援サービス「ベトスカウト」で蓄積されたデータや当社の採用支援経験即に基づき、給与相場やリアルな採用事情について解説しますので、ぜひ参考にしてもらえたら幸いです。
「ベトスカウト」は、ベトナムを代表する人材紹介会社や採用企業70社以上と提携し、日越求人数を常時2,000件以上取り扱う、業界最大級のプラットフォームです。多くの導入企業様から「ベトナムでの日本人採用なら、最も採用しやすい媒体だ」と高い評価をいただいており、現場のリアルな情報が集まっています。この記事が、貴社の採用戦略の確かな一助となれば幸いです。
ベトナムでの日本人の採用動向について
ベトナムの日本人就労市場の現状と将来性
「ベトナムで働く日本人って増えているの?」
よく企業様から頂く質問ですが、
外務省での調査結果を統計的に見ると、2020年迄右肩上がりに在留邦人は長年増加してきたものの、2021年以降は減少傾向となり、落ち着いた推移を示しています。
背景としては、コロナ禍を経て製造業などでローカル化(現地スタッフへ権限移譲)が進んだことと、国内企業の管理職ポジションには自国民を登用させたいベトナム政府側の意向も反映されていることでしょう。
実際に最近では、以前と比べ日本人(外国人)の就労ビザ取得条件も厳格になり、4年制大卒且つ実務経験3年以上を証明できないと専門家として就労ビザを取得できない事例が増えてきています。
日系企業は増加傾向!依然として高い日本人材ニーズ。多い業種・職種は?
外務省が公表している「海外進出日系企業拠点数調査」を集計すると、ベトナム進出している日系企業数は右肩上がりに推移しています(以下グラフ参照)。
「ベトスカウト」では現在1,600件以上のベトナム勤務日本人向け求人が掲載され、毎月100~200件程の求人情報が更新されています。
掲載されている日本人向け求人(求人ページはこちら)の内訳を見ると、拠点数が多い製造業が最も多くの割合を占めています。しかし、実際の採用決定に目を向けると、製造業関連は全体の約15%程で、大体はホーチミンやハノイといった都市部で働くIT、サービス業、商社、金融、不動産などの営業職やバックオフィス職で多くのマッチングが生まれています。
企業の進出増加に伴い、多様な業種・職種で日本人材が求められていることが分かります。
日本人の採用要件は厳しくなるも、企業側の採用ニーズは強い
以前より日本人の採用のハードルが上がっているのは実情です。
しかし、駐在員採用から日本人の現地採用への切り替えニーズなどで今後も一定の需要が見込まれることと、拡大し続けるベトナム市場を背景にサービス業を中心に進出企業も増えており、日本人ならではのスキルや感覚が求められる仕事は今後も多く残ると考えられます。
ビザ要件の厳格化などにより採用基準は上がる傾向であるものの、依然今後も日本人の採用ニーズは多くあるでしょう。
日本人は現地採用OR駐在採用のどちらがおすすめ?
ベトナムで勤務してくれる日本人を新たに採用しようと考える企業の95%以上の求人が現地採用です。ベトナム労働法に従い、現地法人と直接雇用契約を結び採用するため、コスト・法律面での雇用リスクも抑えられるからです。
ただ企業の中核人材として長く活躍してくれる優秀な人材を採用したい場合は駐在採用の可能性を検討してもいいでしょう。
最初から駐在採用でなくとも、「現地採用で活躍した場合は駐在切り替え可」と採用側の意思が伝われば優秀な人材を採用しやすくなります。ベトナム現地採用で活躍している即戦力日本人も多くいますが、駐在採用に憧れる求職者も多く、企業の中核人材を採用するには良い手段です。
※自社に合わせた採用戦略について、ベトスカウト事務局に相談したい場合にはお気軽にお問合せ(こちら)よりご連絡ください。
日本人を採用する時に給与以外で検討すべき待遇・手当は?
ベトナムで日本人を採用する時、月々支払う給与以外で検討しておくべき項目を大きく4つに分けて紹介します。
①賞与(ボーナス)について
ベトナム労働法にて、給与以外とは別に、賞与は最低でも1ヶ月以上の支払い(1ヶ月のみも可)は義務づけられています。
現地スタッフと一緒に、テト休み前に支給する企業が多いです。
②昇給について
在ベトナム日系企業の平均昇給率は5~6%位ですが、日本人社員にも適用させるのか否かは決めておく必要があります。
日本人の現地採用に関しては、ベトナム現地社員同様に昇給させない企業が多いですが、なかには国籍関係なく全社員一律で毎年昇給させている企業もあります。
③試用期間中の給与について
試用期間はベトナム労働法で最長2ヵ月と定められており、試用期間中の給与は正規雇用時の85%以上にしなければならないと定められています。
④手当について
法律では定められていないものの、多くの在越日系企業が日本人向けに導入している手当として、以下4つが挙げられます。
2. ビザ、WP取得手続きサポート *ほぼ全ての企業にて導入
3. 勤務2年目以降の一時帰国手当(年1回の渡航費は会社負担) *在越日系企業の2~3社に1社が導入している印象
4. 家賃手当 *在越日系企業10%位の企業にて導入している印象
【2025年最新】職種別・日本人のベトナム給与相場は?
以下、ベトスカウトでの活用データをもとに算出した、職種ごとの給与相場になります。
【注意事項】
記載の給与額は、税込み(Gross)の月給であり、あくまで目安です。実際の給与は、本人の経験・スキル、語学力、企業の規模や業界、そして採用市場の需給バランスによって”簡単に”変動しますこと、予めご了承ください。
より詳細なレポート資料が欲しい方、自社の採用ニーズに合わせて個別具体的なケースについては「ベトスカウト」事務局までお問合せください。
※2024年以降のベトスカウト登録会員(n≧1000名以上)を対象に、求職者属性なども開示していますので、より参考になるかもしれません。
【営業、マーケ・編集、CS】における日本人のベトナム給与相場
職種/ポジション | 給与相場(総額USD) | 備考 |
営業(業界未経験) | 1,500~2,200USD | ポテンシャル採用枠 |
営業(業界未経験&英語可) | 2,000~2,800USD | 語学力が付加価値 |
営業(経験者) | 2,000~4,000USD | 即戦力としての期待 |
営業(経験者&英語可) | 2,500~4,000USD | 欧米系企業との取引も視野 |
営業マネージャー | 2,500~5,000USD | チームマネジメント能力を評価 |
マーケティング担当~MG | 2,000~3,500USD | デジタル(WEB/IT)領域の経験は必須かと |
メディア編集者、企画 | 1,500~2,500USD | 広告営業の経験ある方は2,000USD以上 |
カスタマーサポート(語学不問) | 1,500~2,000USD | 日系顧客のみ対応 |
カスタマーサポート(英語可) | 2,000~2,500USD | 現地スタッフ管理を英語で行う |
【補足】不動産、人材紹介、金融などの営業職では、個人の成果に応じたインセンティブ(歩合給)の割合が大きく、相場を大幅に超える報酬を得るケースも珍しくありません。
【人事総務/経理、バックオフィス】における日本人のベトナム給与相場
人事総務スタッフ | 2,000~2,500USD |
人事総務マネージャー | 2.000~3,000USD |
経理スタッフ | 2,000~3,000USD |
経理マネージャー/管理部門マネージャー | 3,000~4,500USD |
事務/バックオフィス | 1,800~2,500USD |
社長秘書(語学不問) | 1,800~2,200USD |
社長秘書(英語可ハイスペック) | 2,000~3,000USD |
経理MGや管理部門を統括するような重要ポジションになると、現地採用ではなく駐在採用案件として(年収800~1,000万円)で募集される企業も珍しくありません。
【製造・メーカー】における日本人のベトナム給与相場
工場長 | 3500~6000USD |
生産管理/品質管理 | 2500~4500USD |
品質保証 | 2500~4000USD |
技術職(エンジニア) | 2500~5000USD |
購買スタッフ | 2000~2500USD |
購買マネージャー | 2500~3500USD |
【建設】における日本人のベトナム給与相場
建設技術職 (現場代理人~建築/設備施工管理) |
4000~7000USD |
意匠設計 | 3000~6000USD |
設備設計 | 3000~5000USD |
内装設計 | 2000~4000USD |
【IT関連職】における日本人のベトナム給与相場
日本人ブリッジSE | 2,500~3,500USD |
PM | 3,000~5,000USD |
WEBデザイナー | 2,300~3,000USD |
IT営業(未経験者) | 2,000~2,200USD |
IT営業(経験者) | 2,500~3,500USD |
ITエンジニア | 2,500USD~ |
【コンサル・士業】における日本人のベトナム給与相場
会計・税務コンサル(資格不問の場合) | 2,500~3,500USD |
会計・税務コンサル(有資格) | 3,000~5,000USD |
会計シニアマネージャー | 4,000~6,000USD |
戦略コンサル | 3,000~6,000USD |
M&Aコンサル | 4,000~6,000USD |
【サービス関連職】における日本人のベトナム給与相場
幼稚園教諭 | 1,500~2,200USD |
小学校~中学校教諭 | 1,500~2,000USD |
日本語教師 | 1,300~2,000USD |
スクール講師 | 1,500~2,500USD |
美容師・店舗責任者 | 1,800~2,500USD |
飲食店舗責任者 | 1,800~3,000USD |
複数店舗統括MG | 2,500~3,000USD |
歯科医師 | 3,500~5,000USD |
医師 | 6,000~10,000USD |
補足:10年以上前では、1,000USD位で日本語教師を採用できた時期もあるようですが、最近は一度も聞いたことがありません。
【管理職ポジション】における日本人のベトナム給与相場
現地法人代表 | 3,000~7,000USD |
経営企画 | 3,000~5,000USD |
新規事業立ち上げ、事業企画 | 2,500~4,000USD |
経理・管理部門責任者・CFO | 4,000~5,000USD |
技術顧問・CTO | 3,500~7,000USD |
※その他、より詳細な日本人求職者の動向やべトスカウトの会員属性情報(分析対象:2024年以降の新規会員1000名以上)を知りたい方は気軽にお問合せください。
- 具体的にどんな求職者が登録されているか
- 求職者の経験職種/業種の内訳
- 年齢/性別の内訳
- 求職者の現居住国(ベトナム在住者が多い?日本からの渡航者が多い?)
- 日本人を採用しやすい時期は?採用のポイント・コツは?
給与相場を参考にして、自社の採用戦略を考えよう
この記事では、ベトナムで働く日本人の給与相場について詳しく解説しました。
以前は日本で日本人を採用するよりも、ベトナムで日本人を現地採用するほうが3割~4割程コストを抑えることができましたが、今ではほぼ差がなくなってきつつあります。
背景としては、ベトナムの物価上昇で生活費が上がったことや、ビザ取得要件が厳格化され(大卒実務経験3年以上or技術者として5年以上経験が必須)、採用対象となる人材要件レベルが上がっことが挙げられるでしょう。
ベトナム在住が長い郊外の日本人経営者の中には、「昔は優秀な営業人材を1,500usdで採用できたから今もできるはず」と過去の成功体験が強く残り、現在も相場とズレた募集を行い何年も求める人材を採用できていない企業もあります。
自社のビジネスを前進してくれる優秀な日本人を採用するためにも、最新の給与相場を理解しつつ、敢えて相場より少し良い条件で募集することも1案です。
既存社員との給与バランスも考慮しながら、自社に合わせた採用戦略を考えるようにしましょう。
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